旧瀬戸邸
稚内で暮らし始めて丸二年が経ちました。
これまで機会がなく見学できていなかった、旧瀬戸邸へ行ってきました。
昭和20年~40年代。稚内のまちは、底曳網漁の前線基地として、国内各地から人が集まり、活気に満ちあふれていました。
そのさなかの昭和27年、「旧瀬戸邸」は、瀬戸常蔵という底曳きの親方の住宅として建てられました。
建物の外観は、明治期から大正期に見られる旅館建築を彷彿とさせます。屋根は、切妻形式で赤いトタン葺きと頂部の棟飾りが特徴的で、外壁は分厚いモルタル掻き落とし仕上げが施されています。
戦後まもない昭和の建築物を保存するとともに、稚内の漁業の歴史を伝えていきます。【引用】旧瀬戸邸/稚内市
北海道の日本海側には、鰊御殿がいくつかありますが、この稚内も鰊をはじめ、蟹などの底曳網漁で賑わっていたみたいです。
今はすごくさみしい雰囲気なので、なかなか信じられなかったんですが、旧瀬戸邸を訪れて当時の賑わいを垣間見る事ができたので、忘れないうちに感想をしたためておきたいと思います。
ゴールデンウィークも仕事だったので、替わりに貰った平日休みの本日5月8日。
運動不足解消も兼ねて自転車を漕ぎ漕ぎ。
気温はプラスになったといっても風の街稚内はまだ寒く、最高気温6.7度の最大瞬間風速11.1メートル。顔や耳が冷たいです。
旧瀬戸邸に着いたのは午後2時頃でした。
玄関を開けると誰もいなく、事務室をノックしても応答なし。
開けちゃえ、と事務室の扉を開けるとおじさんが出てきたので、入館料の200円を渡します。
見学者は自分だけだったので、案内人の方が親切に説明して回ってくれました。
「20分コースと40分コース、どちらがいいですか。」
美術館とかものんびり自分のペースで回るのが好きな私。
話が長くなるといやだなと思い、
「手短にお願いします。」と伝えました。
おじさんは説明に夢中で時間過ぎてたら教えてね、といって案内を開始してくれました。
ここに来るまで申し訳ないけど、あまり期待していませんでした。
でも、中を見て、話を聞いていくうちに夢中になりました。
和室、茶室、庭園。
広くはないけど、細かい作りや装飾が丁寧に施されていてとても見応えがありました。
稚内はもうすぐ桜が咲く季節。
庭園は日当たりが良く、他の場所よりも蕾が膨らんでいるようにみえました。
「北の桜守」という映画の撮影が稚内でも行われていたのですが、この旧瀬戸邸でも吉永小百合さんと堺雅人さんが旅先で宿泊し、支え合った過去を回想するシーンが撮影されたそう。その部屋もとても素敵な空間でした。
そして、当時の漁で網いっぱいに蟹の入った写真や、漁の様子も展示されていました。
特に稚内の港に船が集まっている写真には感動で、本当に昔は活気に溢れていたんだ!と稚内に住みはじめて三年目、ようやくそのことを信じることができたのでした。
話を聞くのに夢中で、中で写真を撮っていいのか聞くのを忘れましたが、また機会があれば足を運んでみたいなと思います。