稚内で自転車を修理した話
先日、4月で異動になった職場の同僚から譲り受けた自転車を修理に出してきました。
通勤はバス、たまの休日にレンタカーを借りて遠出する生活を1年間続けてきましたが、ちょっとしたスーパーへの買い物や図書館へ行きたい時などは本数の少ないバスでは不便だなと感じていました。
後輪がパンクしているマウンテンバイクでしたが、東京のようにどこもかしこも滑らかに整備された道路ばかりではありませんので、安いママチャリを自分で購入して乗るよりは安全かなと思い譲り受けることにしたのでした。
(北海道は道路の距離も他府県と比べればかなりあるだろうし、冬の低温やチェーンタイヤによる劣化、予算も除雪にまわせば頻繁に道路を整備するのは難しいんだろうなと、勝手に想像しています。)
Googleマップで稚内市内の自転車屋さんを検索すると、2件がヒット。
そのうち駅前に近い店舗の評判が良さそうでしたので町の風景をのんびり眺めながら40分ほど自転車を押して目的のお店まで運んで行きました。
店内は都市部によくあるチェーン店のような小綺麗さはありませんが、販売されている自転車はどれもよく整備されていましたし、作業場にある工具類も大事に使い込んでいる感じが伝わってきて、いいお店だなと思いました。
「パンクしたまま走ったやろ、チューブ取り替えるよ。」と言いながら楽しそうにタイヤを外して作業を進めていくおじさん。
「そこ座って待っとき。」とぶっきらぼうな言葉遣いやけど、優しさは伝わってくるおばさん。
(稚内は漁師言葉で本州から来た人にはきつく聞こえますが、根は優しい人が多い気がします。)
チェーンに塗るグリスの匂い。
年季の入った店内。
活き活きと作業を進める様子。
「あぁこういう感じええな。」と思いながら見とれていると20分ぐらいで作業は終わりました。
東京に住んでいた頃も自転車は使用していなかったので、久しぶりの運転。
しっかりと空気の入ったタイヤはペダルを踏み出すとゆっくりと走り出しました。
乗り心地は上々です。
天気の良い休日ができたら、自転車にまたがって少し散策してみようかなと思います。
君の名は。@最北の映画館
今更ですが『君の名は。』を観てきました。
ここから先は星の数ほどある大ヒット映画の感想の一つでしかなくストーリーのネタバレもありますので興味のある方だけページをスクロールしてください。
東京から稚内に来てもうすぐ一年になります。本当に早いです。
吹雪や雪道にも慣れてきたし、シカやキツネに出会っても普通の出来事だと思えるようにもなりました。ただ最北の映画館にはまだ行っていないなぁと。ちょうど割引チケットも手に入ったので、ずっと気になっていた『君の名は。』が19時から上映される予定でしたので仕事帰りに立ち寄ってみました。
最初の感想はコンパクトな劇場やなぁでした。今回通されたシアター2には85席+(車椅子1席)に自分を含めて6人。カップル1組にあとは自分を含めたひとり客の皆さんでした。
東京にいた頃は少し郊外へ出て豊洲や浦和にあるユナイテッドシネマの広いスクリーンで観るのが好きでしたので、大きさはどうしても比べてしまいます。ただコンパクトでお客さんも少ないぶん、映画が終わってもエンドスクロールの途中で立つひともおらず最後まで映画の余韻に浸ることができました。
映画がスタート。私の周りの人からは、良かったよ、よくある映画だよ、よくわ分からなかった等と色々な感想を聞いていましたが、自分は映画より先にRADWIMPSの『前前前世』をiTunesでダウンロードしており、『有心論』や『ふたりごと』の頃とはメロディーラインもポップで雰囲気がちがうこの曲は、どんな映画に使われるんやろと思ったのが興味を持つきっかけでした。
まず「新海誠監督」のクレジットが目に留まりました。大好きなWEB漫画『左利きのエレン』の5巻で優秀なクリエイター神谷さんも好きだって描写があったなぁ。そんなことを思い出しながら映像を見ます。
美しい岐阜の風景とリアルな東京の描写。東京に住んでいたころは散歩が好きで(稚内は雪や氷道でなかなか気が進んでいませんが、、)原宿から竹下通りを抜けて渋谷区中央図書館で一休み、北参道を抜けて代々木まで行くこともよくありました。
この映画の舞台に出てくる駅や新宿の街並み、NTTビルなどは自分もすごく好きだった街並みで見入ってしまいました。外観だけでなく名称や企業名も現実のものを使用しているので、より一層映画の世界に没入してしまい現実との垣根がなくなっていきます。
あっという間に青年・瀧(たき)に感情移入してしまいました。きっとこんな感想も多くの人が書いているだろうけれど、実際に自分の目で観てはっきりそういう感想をもちました。
序盤は綺麗な映像によくある設定「入れ替わり」の映画だなぁといった感じで見入っていました。だけど気がつけば主人公の世界に没入していき、瀧(たき)と三葉(みつは)を応援したくなります。あー青春だな。くすぐったいな。
そう油断していたところに三つ葉(みつは)と入れ替え変わることがなくなったとのナレーション。ただの恋愛描写から雰囲気が一変させられます。三葉(みつは)に会いにいく決心をし岐阜入りした瀧(たき)は驚愕の事実を知ります。彗星が分裂し三葉(みつは)の町へ落下したのだと。そこで三葉(みつは)がなくなったことを瀧(たき)は知ってしまいます。
うそでしょ、、
ここ最近で言えば『MAJOR 2nd』第87話で光が動けなくなったのと同じぐらいショックでした。なんでそんな仕打ちをするんだ、、泣
本当に自分は脚本家の思うつぼ。心揺り動かされています。
三葉(みつは)が町長である父親に掛け合い、瀧(たき)が社会人になった映像を見せられた時の、やっぱり間に合わなかった、未来は変えられなかったんかという悲壮感、奥寺先輩と久しぶりに再会後目を通す彗星落下記事に死者0の文字、”ほとんど”の住民が高校に避難し助かったと読み上げる瀧(たき)。三葉(みつは)は、三葉(みつは)はどないしたんやー!と核心を隠され焦らされる自分。
『左利きのエレン』でのさゆりのセリフ「チェルシーの一件は広告で言えば”ティーザー”」を思い出しました。完全に脚本家に焦らされいます。なんて、映画を見た後だからこんなことが言えますが観ている最中は「三葉(みつは)頼む生きていていてくれー!」と祈る気持ちでいっぱいでした。
そして瀧(たき)と三葉(みつは)らしき女性が歩道橋ですれ違う。三葉(みつは)生きてたー!!泣 しかしここでも二人は会話を交わすことはありません。そして電車の対向車線で目が合った二人はついに互いを意識し合います。駅を駆け下りて、探し回って、ようやく階段ですれ違う二人。それでもそのまま素通りしようとする素振りを見せます、なんでやねーん!
と思ったところに「あの、どこかでお会いしませんでしたか。」と声をかける瀧(たき)。涙を流す三葉(みつは)。「私も。」
きたー!!!感動でした。
ハッピーエンドじゃないストーリーは好きではないので本当に良かったです。
この気持ちを忘れないうちに記しておきたい。みうらじゅんさんもほぼ日のインタビューで言っていたよ、「貼りたいときが、貼りどき。」って。
吹雪の中帰りのバスに飛び乗り、飯も忘れてキーボードを叩いたものがこのグダグダな文書です。田中泰延さんのエンタメ新党みたいに独自の視点で作家性あふれる文を紡ぎ出せれば良かったのですが、私のありふれた表現力ではこれが限界です。
瀧(たき)と三葉(みつは)が、お互いの名前を、存在を、忘れないように、忘れないように走っている場面の余韻に浸りながら今夜眠りにつきたいと思います。
きっと昨年流行ったんだと思うけど聖地巡礼したいなぁ。
稚内からはとても遠いのだろうけど。
(おしまい)
不思議な日
同じ日に何人かのひとから連絡が続く事があります。今日は母親、弟、習い事で知り合った友人、異動で遠くへ離れた職場の同期から。普段から多くのひととバシバシ連絡取り合う性分ではないので、4名も同じ日に連絡があると不思議だなーっと感じてしまいます。
母親からは風邪ひいてないかいといった他愛もない雑談、弟からは結婚式の日にちが決まったよーって連絡、友人からは冬に久し振りに会おうって約束を、同期からは飲み会で知り合った人が私の事を知ってる人だったー!っと酔った勢いで電話かけてきて、おかげで同期だけでなくその知人とも久し振りに話ができて。
稚内へ来て知人・友人と会う機会もガクンと減ってしまったので、いろんなひとの近況が聞けて嬉しい1日でした。
アイスバーン
稚内に来て7ヶ月。
いよいよ冬の足跡が聞こえてきました。
普通のスニーカーだとツルツル滑ってしまい結構危険を感じています。職場の先輩にはすぐ慣れるといわれましたが、、
街行く車は冬用タイヤ、歩いている人も滑り止めのある靴やブーツを履いてるようなので、車を持たない自分は靴を購入したいなと思うこの頃です。
こういうオシャレなのもあるみたいなので気になります。札幌とかで実物を試着したいです。
http://zozo.jp/sp/shop/adametrope/goods-sale/13776796/?did=30325245
http://freaksstore.com/m/blog/sapporo/2014/11/mens-14.php
稚内に来て初めての夏をふりかえり
よっぴーさんの旅に出たくなるコンテストの応募のお知らせがフェイスブックで流れてきた。せっかくなので自分が好きな夏をここに記しておこうと思う。
うだるような暑さにエアコンの効いた部屋。
カキ氷をかきこみながら流れる汗との格闘。
生まれ育った大阪と、大学進学をきっかけに上京した日本の都市部で過ごした自分の夏の思い出は大体こんな感じ。
海の浮かれた雰囲気もいいけれど、自分の好きな夏は花火大会や夏祭りにでかけること。
好きな子をどうやって誘い出そうとかとそわそわしたり、浴衣姿にドキドキしたり、たこ焼きやビールを買ったり。一生懸命空いている席を探したり、携帯で花火を撮影しようとしてうまくいかなかったり。
はしゃいで綺麗で儚くて。
名曲をセレクトするならば、ケツメイシさんの夏の思い出より、ホワイトベリーさ の夏祭りのがいいといえば伝わるだろうか。
そんな自分は今年から仕事の都合で稚内へ移り住むことになった。今年の最高気温は28.6度。
日本最北端に来てはじめての夏は、これまでの自分の夏とは違っていた。
部屋にはエアコンはついていないし使う必要もない。4月に東京から来たときは雪が残っていたし寒さでぶるぶる震えていた。
3月には皇居でお花見をしたのに、稚内は5月に桜が咲いた。
そして8月にアジサイが開花。
これまでの季節感がくずれてしまった。
稚内駅の前では、白夜祭りや南極祭りといった日本最北端らしい名前のイベントがあり、ちょっとした出店は並ぶのだけれど寒かったり涼しかったりして自分の知っている夏祭りではない。
今振り返ってみても夏、あったっけか、と不思議な気持ちになる。
そんな自分は何をして過ごしていたのかな。大阪や東京にないもの。目の前に広がる手付かずの自然だった。
電車やバスで見て回るのは勿論難しく、自宅近くの格安レンタカーお世になる毎日。
安い中古車を買えばいいじゃないと思うぐらい休みが出来れば車を走らせる。
道北は高速道路も途中で途切れてしまい、交通の便はわるい。でも、その分手付かずの自然が残ってる。
誰も人がいない沼で、何時間もカメラを覗きながらボーッと過ごしたり、
オロロンラインという風車の回る海沿いの道をドライブしたり。
誰にも邪魔されず、何時間も同じ場所で一眼レフのシャッターを切れることは、人見知りの自分には至福の時。
疲れた後は、炭鉱を掘っていたお湯が出てきたという、石油の温泉、豊富で身体をいたわり、レンタカーを返して、自宅に戻って、プシュっと缶ビールのふたを開ける。
そんな過ごし方が稚内に来てからの夏の思い出だ。オチもないし、この文の落とし所もなくなってしまったけれど、今思うことをツラツラと書いてみた。
残念ながら、応募時間は過ぎてしまって応募は無理だけれど、面倒くさがりの自分にとっては、ブログを更新するいいきっかけになった。
今もアルコールが入って推敲もできてないけど、また時間を見つけて振り返ってみたいと思う。